ラヴァー・シック


リョーマはこの日、気分が悪かった。
イヤな日だったのかも知れない。それは図書委員会の仕事から始まった。
「越前〜」
そう言って帰りのホームルームで担任に呼ばれた。何かと思って担任の方へ足を運べば委員会の仕事があるとのこと。リョーマは渋々とその内容が書かれた紙を受け取った。内容はというとバラバラになった本の整理整頓。
ホームルームが終わるとリョーマはさっさと委員会の仕事をしようと図書室まで足を運んだ。ガラリとドアを開けると、もうそこには誰もいなかった。図書室は使っている人も度々で、ましてや放課後に利用されることなど余りなかった。青学の図書館は都の中でも大きい方で、この整頓をやるのは委員会の中でも一番嫌われる仕事だった。1年2組が担当されたこの仕事だったが、相方の女子は来ていないようで、リョーマ独りだけがこの広い図書館の中にいる。リョーマは早速棚から落ちていたり、机の上に乗っかり放しになっている本をかき集め、鈍い手つきでそれを棚にしまう。紙の束が本というだけにかなり重たい。リョーマは足下をふらつかせながら1冊1冊きちんとしまった。
残りも後半にかかったころ、図書室のドアが開いた。
ようやく、相方の方の女子が来たのかとドアの方を覗くと、そこには見慣れすぎた生徒がいた。細目で色素の薄綺麗な髪。すらっとのびた姿形は不二周助だった。そう、リョーマのコイビトである不二。
リョーマはドキッとした。
「なんで先輩がこんな所に・・・」
ドッドッドと、緊張して鼓動が早くなる。リョーマは不二の方へ足を進めようとしたとき、何かに気付き足を止めた。
誰か、いる。
出かけた足を後ろに戻して、リョーマは本棚に隠れた。そしてそこから聞こえてきたのは女子生徒の声だった。
「来て・・・くれたんだ・・・」
女の子というような可愛らし声が、リョーマの脳に響いた。気付かなかった。この広い図書館にずっといたのだろう、その少女は。
リョーマは拳に力を入れると、その場に座り込んだ。図書室、放課後。こういうキーワードが並ぶと大抵のシュチエーションは分かる。
「うん、で、どうかしたの?」
大好きな人の声が聞こえる。綺麗で、繊細な声。そして続いて話す女性との声。
「え・・・、その、どうかっていうか・・・私・・・、その、せんぱいのことが大好きなんです!!」
リョーマはドキッとした。そう、惹かれているのは自分だけではない、年下も年上も彼に何かを惹かれるのだ。リョーマは顔を伏せた。別に不二が断るくらい知っている。だけれども、こうして女生徒に想いを打ち明けられたらいつかそっちに転びそうな気がしていた。


「・・・ぜーん!えーちーぜーん!!」
パチッと目を開くと、そこには桃城の姿があった。
「お前、何してんだこんな所で」
桃城がリョーマの顔を覗き込むように言った。リョーマはその視線を振り払って、素っ気なく答える。
「ん・・・別に。」
「ふーん」
もう、陽はとっくに沈んでいて涼しい空気と、暗さに図書館が包まれる。いつから寝てたんだろう。リョーマはふと思った。確かさっきまでは夕日がちゃんとあってまわりも明るかった。そして何よりの違いは、あの場所にいた女生徒と、不二がいなくなっていることだった。どこへ行ってしまったのだろう。不二の答えは何だったのだろう。リョーマはそんなことをぼんやりとした頭で考えた。
「お前もう帰るだろ?乗ってくか?」
そういって桃は人差し指にかけている自転車の鍵を回してリョーマに見せた。
「どうもッス」
リョーマそう言うと、よっと立ち上がり残りの本を腕に抱えて棚にしまい始めた。
「お前、それ独りでやってたのか?」
「だって女子が来ないし」
「手伝ってやるよ」
「いいッスよ。別に一人で出来るし」
リョーマがそう言って一人で続ける。桃城はリョーマのそんな行為をじっと横目で見た。
リョーマも疲労が相当なモノなのか、あちこちに移動してはふらついていた。その上、棚はリョーマよりも高さがあった。上にしまうとき、リョーマは背伸びをしなければ届かなかった。危なっかしいと、桃城はリョーマも見た。そしてその視線をリョーマの腰に泳がせ、そして後ろを向いて無防備に本をしまっているリョーマの細腰にそっと腕を回した。
「え・・・」
突然やんわりとした感じに気を取られ、リョーマは足のバランスを崩す。そしてそれと同時に桃の方へと倒れ込んだ。
バサッと、手に持っていた本が音を立てて床に落ちた。
「い・・・って・・・おい、越前大丈夫か?」
頭を抑えながら、桃城は目を開くとハッとした。棚に凭れ座る桃の膝の上に、向き合うようにいた自分。
「ん・・・平気・・・いった・・・」
頭を撫でながら、ハッと上を見ると、当然桃城と目があった。これ以上はないくらい近い位置で、リョーマと桃城の目があった。トクンと吐息が感じるほど緊張した空気。
「ごめ・・・桃せんぱい」
リョーマは崩れた体制を直そうと、足に力を入れて立ち上がろうとした瞬間、グイッと腕を引っ張られ再び桃城の胸に引き戻される。
温かい胸元に飛び込まれて、リョーマの頭の中が真っ白になる。
「なに・・っ?」
必死に離れようとしても、ぐっと抱きすくめられ、リョーマは身動きが出来なかった。
「越前・・・なんかあった?」
その大きな目がハッと見開く。綺麗な色素の薄目に桃城が映り出す。
「なんで・・・」
「だって、そりゃお前・・・目に涙の痕があるしな」
バクバクとなる心臓を抑えようとリョーマは必死に桃城の胸に手を押しつけて離れようと試みる。しかし、そんな講堂も裏目に出て。リョーマが離れるために差しのばした手を、桃城はグッと掴み再び自分の元へ時に戻す。
「やめっ・・・」
「なんかあったか知らねぇけど、そんな顔してればなー」
「?!」
「ポーカーフェイスがはがれてるぜ?越前」
そういって桃城に頬をつねられるリョーマ。
「いてっててっ・・・ッ!何す・・・」
「帰るぞ」
「だってまだ本が」
「んなもん、明日ッ、あーしーたっ」
「・・・桃先輩らしいや」
そういってリョーマは立ち上がると桃城と図書館をあとにした。
「あ、そだ正門しまってるかもしんねぇから裏門から出るぞ」
「うぃーっす」
桃城の自転車の後ろに乗ると、家路を辿った。








「次はサボるなよっ」
朝のホームルームで担任に日誌で頭をとつれたリョーマ。仕事を途中で投げて帰ったためと、床に本が散らかったままだったので次の日に様子を見に来た教師がそれを発見したのである。ちらっと、生徒の方を見ると隅の方の席の女子生徒が顔の前に手を合わせてリョーマに頭を下げていた。苦笑いをしながら。どうやら図書委員の少女。昨日すっぽかしにしたことを謝っているのだろうと、リョーマは思った。

一日ももう終わりにかかって、残りは後半だった。
堀尾達に誘われて一緒に食事を摂るリョーマ。
「お前、なんか元気ねーんじゃねーの?」
堀尾がそうリョーマに言った。リョーマはお弁当の中のおかずを箸で摘んでさらりと答えて流した。
「別に」
「おまえってばそればっかじゃん!」
ハハハと他の生徒も一緒に笑う。そして少し立つと女子の当たりが騒がしくなった。教室のドアを見ると見慣れたヒトが立っていた。
「あれってば、不二先輩じゃねー?」
堀尾が指をさして言う。リョーマはムッとあからさまに目を細めて目の前の弁当に再び箸を運ぶ。
「おい、越前、先輩が呼んでるぞ。行かなくて良いのか?」
「わかってるよ」
リョーマはそう言うと箸をパシンを置くと不二のいるドアに向かった。
「何?」
「ちょっと聞きたいことがあってね」
「そんで?」
「屋上行こう?」
不二に腕を引っ張られ、リョーマは不二のあとをついて行った。不二の髪がさらさらと揺れる髪に太陽の陽が当たってキラキラと輝いた。
不二は屋上の手前の階段で足を止めた。
「屋上行かないんすか?」
「うん、風強そうだし」
にっこりと微笑む不二にリョーマはふぅっとため息をついた。
「昨日―――・・・・」
不二がフッと切り出した言葉にリョーマはドキッとした。
「帰り遅かったね」
「別に・・・一緒に帰るなんて言ってないじゃん」
「でも、7時頃帰るなんてどうして?」
ビクッ。リョーマは視線を右下に落とした。
「そんなことより・・・先輩なんか言うことないんすか?」
「・・・昨日のこと?」
リョーマはこくりと頷いた。自分は見ていない結末。リョーマは不二の返事が知りたかった。
「断ったよ、僕はリョーマくんが一番だからね」
手がスッと伸びてきてリョーマの体を抱き寄せる。細い髪の毛に指を絡めて掬い上げ、軽くキスをする。
「先輩・・・」
リョーマも不二の背中に手を回し、グッと捕まろうとしたとき、不二が細めを開いてリョーマを見る。
「でも、リョーマくんはどうなのかな」


「え・・・?」
ハッと不二は見ると、不二は細めを開けて暗く苦い笑いをしていた。
「リョーマくんにとっての一番ってダレ?」
「別に・・・」
リョーマは眉を潜めて顔を伏せた。気の強い正確な上に自分の心を余り打ち明けないことはもう、不二だって、他のみんなだって知っていた。だからこそ、そんな性格だからこそ不二はリョーマのことを問いつめたくて仕方がない。
「じゃあ、いいよ。目、閉じて」
不二に瞼を掌で触れられ、リョーマはそっと目を瞑った。そしてそれを確認すると不二はくすっと笑い、リョーマの頭を支えたまま自分の唇を落とした。突然の柔らかい感触と口を塞がれる緊迫感にリョーマが目と固く閉じる。口付けは止むことはなくグイグイと逆に押し込まれるばかりだった。歯形をなぞられ、固く閉じていた口腔へ不二の舌が入り込む。
「んはぁっ・・・やっ・・・、!」
離そうとする唇を再び合わせられ、深いキスを落とす。リョーマの目尻には大粒の涙がたまり、頬を伝ってそれが流れた。
「せんぱっ・・・ここっ・・・、がっこ・・・・ぉっ」
「うん、そうだね。誰かに見つかっちゃったらイケナイよね」
瞼に、そっとキスをおとしリョーマの涙を舌で掬う。頬に流れた涙の痕を舌で伝い首筋に赤い痣を残す。ビクッと甘い痛みにリョーマの体が震える。頬を紅潮に染め、がくがくと足を震わすリョーマ。不二はリョーマ壁側に凭れさせ、ゆっくりと手を下半身に這わせた。股の間の象徴を制服の上から軽く形をなぞるように触れる。
「あぁ・・・っん、ヤダっ・・・やっ!」
ヤダヤダといって首を横に振るリョーマの額に唇を当てながら不二は手を進めた。カチャカチャと金属の擦れる音を鳴らしベルトを外してリョーマのズボンを脱がす。そして、軽く熱を帯び立ち上がったそれの先をやんわりと掌で包んだ。
「ダメっ・・・だっ・・・てっ・・・!」
リョーマが下半身に触れている不二の手を上から引きはがそうとする。しかし、快感の波に襲われ、リョーマの手に思うように力が入らない。
「昨日桃と何してたの?」
ビクッと躰が跳ねる。不二は掌に包んでいたリョーマのペニスの根本をきゅっと摘んだ。そして力を入れたままずるりと先端まで扱う。先走った液が滑りをよくしてするりと先端まで不二の細い指が絡まる。
「なに・・っも・・・あっ・・・あ・・っや、もっ・・・う・・・」
人差し指でリョーマのソノ先端に爪を当てて、硬くしこった部分を弄くる。人差し指でソレの裏をなぞりながら先端を掌でギュッと掴む。
先端を止められ、出るはずの液の量も少なく、リョーマは嘆く。苦しいほどの熱を小さい体に抱え、解放を求めて身を捩る。
「いやっだぁ・・・せんぱっ・・・もう・・・も・・・っ」
「出す?」
「あっああっ・・・・ん」
不二の言葉にリョーマが必死になって首を縦に振り哀願する。もう涙が絶え間なく流れ落ちて床や制服に濡れた染みを作った。
掴んだ不二の腕に力を込め、不二が先端に軽く爪を立てると、その掌にあっさりと自分の欲望を放った。不二はニヤリと笑って、白く濁った液を人差し指の先に集めてリョーマの蕾に指を入り込ませた。細く長い指がリョーマの中にあっさりと埋まっていく。
「くっ・・あ・・・・」
熱い内壁にひんやりと冷たい指先が当たる。奥まで入り込まされてリョーマは足を額額を震わせ、壁にもたれ掛かった。もう、不二なしでは立っていることさえ出来ないくらいにがくがく震え、必死に不二にしがみついた。
リョーマの白濁の液が滑りをよくしてより奥へと不二の指を導いた。不二はリョーマの胸元に顔を運ぶと、硬く既に立ち上がったピンク色のしこりを歯で軽く噛んだ。舌先をとがらせて乳首をなめ回し、リョーマの蕾を緩ませる。指を引き抜いては奥まで差し込んだ。そして固く閉じていた蕾を指を増やしては徐々に解していく。
「あっ・・・もう・・・・もっ・・・欲しいっ・・・欲しいよっ」
「うん、そろそろだね」
不二はそう言うとリョーマの中から指を引き抜いた。
制服のズボンを下ろし、もう硬く大きくなった己を取り出した。そしてリョーマの片足を持ち上げながら後ろの蕾の入り口にゆっくりと押し当てた。リョーマが放った液で滑り、不二のモノはみるみるうちにリョーマの中に埋まっていった。限界まで開かれた結合部分がじりじりと熱かった。そして腹部に対する圧迫感。不二は奥まで入ったのを確かめると、ぐったりとしたリョーマを支えたまま、ゆっくりと動き出した。自分の中からひいていく不二のモノがリョーマの内壁を擦りビクンと背中を強張らせた。
「ああっ・・・いた・・い」
「リョーマくん」
髪の毛に手を絡め、瞼に再びキスをする。そしてゆっくりと再び奥まで突いた。びくびくと痙攣したように震え、リョーマは喘ぐ。
ゆっくりと、そして段々早く奥へと招き入れ、より深く突いてゆく不二のソレ。
「あ・・あ・・っんんっ・・ああっ」
ある一点を突いたとき、ビクンとリョーマの躰が震えた。そしてそこを確かめるようにふじは再び突く。
「やあっ・・・・ああ・・・」
「ここ?リョーマくん」
「んはっ・・・・あ・・・やっ・・・そこっ・・・・!!」
「リョーマくん・・・っ」
ドッドッドと早くなる鼓動を胸に響かせ、不二は奥へと奥へと突いた。そしてもう放った後とは思えぬくらい再び熱を帯び、天を向いて立ち上がったリョーマのペニスをグッと掴んだ。
「ひゃああっ・・・やだっ・・・なにす・・んの・・・っ」
大きな目から、涙が絶え間なく溢れていった。不二はそんなリョーマにくすりと笑いかけると、リョーマの最奥部を突きながら前の象徴を扱いはじめた。もう既に白濁の液によって濡れた不二の手は滑りがよくリョーマのソレを上下に左右していた。細長い指に絡め取られ、時より摘まれる強い刺激にリョーマは耐えるしかなかった。
「ひゃっああ・・・もう・・・ああ―――っ」
「リョーマくんっ」
不二はリョーマの中のより深いところにいくと、そこに自分の欲望を放った。そしてソレと同時にグッと先端を押されリョーマも2度目の射精を不二の掌にはなった。


「・・・先輩サイテー」
「ごめんね、ごめん、リョーマくん」
情事を終えたときには既に5限目が終わったときだった。不二とリョーマは屋上に続く階段の上で、腰を下ろしていた。
「で、昨日は?」
不二はリョーマの額をツンとつっついてさらりと揺れる深緑の髪の毛に手を伸ばした。
そしてそれをサラリと手に絡めてリョーマの髪の毛にキスをする。
「昨日?」
リョーマが不思議そうに不二を見る。
「桃何してたの?」
「えっ、別にっ・・・・、一緒に帰っただけ」
「くす、じゃあ今日は一緒に帰ろうね」
「えっ?別にいいッスけど」
「リョーマくん」
「何」
「膝枕して」
「ヤダ」




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良いのかこれで(笑)
エッチしてるのはほとんど後半。はっきり言って何のために前半があるのかは知らないです・・・(え?
実はこの作品、何回も書き直してます。しかも修羅場中に書いたモノですので誤字脱字等目立つかも知れません;すみません。

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